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打って変わった僕の真剣な表情にユンギは頷くと静かに話し始めた。
YG「ちょっと前に俺とA、二人で仕事の日があったでしょ。その日初めてのスタジオだったんです。で、俺が撮影してる間とかトイレやメイク直しとかで‥とにかく俺がAの側から離れた時に限ってAに擦り寄って親しげに話す奴がいて‥その、やたら肩とか腕触ったり、」
ユンギは思い出しただけでも腹が立つのか段々と地を這うような低い声になり、「挙げ句の果てにはそいつ、俺が気付いて慌ててAの元に行くと、毎回勝ち誇った笑みを俺に向けて去ってくんですよ‥」と自分の膝上にある拳を固く、強く握りしめている。
「それはもう確信犯だな‥。ユンギも何でその日に僕たちに教えてくれなかったんだよ。もっと早く対処出来たかも知れないじゃん。」
YG「それはすみません‥、大事にしたくなくて。それに、これは俺が売られた喧嘩なんで俺が終わらせます。」
「だから明日の為にマネヒョンや会社関係の人達にA個人のスケジュールを聞いて手を回してたんです。」と意気込む彼に言いたい事は正直沢山ある。例えば、もっと僕たちを頼ってよ、とか喧嘩とか言ってる場合じゃないでしょ、とかね。でもユンギはそんな薄情な奴でも、何も考えず突っ走る奴でも無いってことを知ってるから。何よりAを想ってのことだろうし、そこに彼なりの誠意や責任、考えがあってのことなら僕は何も言わないよ。だけどさ、
「僕はAだけじゃなくて、ユンギのことも心配なんだよ。だからこれからちゃんと言うこと。皆、お前の味方なんだから。」
何か力になって欲しい時も言うんだよ、と背中を軽く叩いてやると、ありがとうございますと小さく笑うユンギは素直でかわいい。
「よし！じゃあ取り敢えずお前はAのとこ行ってきな。Aもユンギに言ってないことあるみたいだし。」
YG「‥え、何のことですか？」
「とにかくお前たち二人はもっと自分の思いを話し合うべきだね。黙ってても分かって貰える、なんて世の中そんな都合よく出来てないよ！」
間抜け顔のユンギをそのままに、ヒョンはちょっと疲れたから寝るわ、と自分のベッドに転がること数分、ユンギが出て行ったのか扉の閉まる音がした。それを合図に僕も目を閉じる。
さっきユンギに口は出さないと言ったものの、聞いてしまったからには指を咥えて見てるだけなんて真似、僕には出来ない。僕は僕で何をすべきか、考えを巡らすことにした。
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作者名：mitsu | 作成日時：2021年7月19日 23時
